リリスとは、西洋占星術でホロスコープに書き込む「計算上の点」の一つです。多くの場合、月の軌道で地球から最も遠い点(遠地点)を指します。
星や惑星そのものではないため、空を見上げても見えません。そのうえ「リリス」と呼ばれる点には複数の種類があり、使うツールによって星座が違って見えることがあります。
結論から言うと、まず確かめたいのは「どの種類のリリスか」です。そのうえで、リリスは本人がしまい込みやすい本音を映す点として読まれることが多く、性格を決める主役ではありません。
この記事では、意味と名前の由来、種類の違い、計算のしかた、12星座ごとの読み方を順に整理します。感受点やハウスの意味で迷ったら、星座・占星術の用語集を開いて調べてください。
リリスとは?星ではなく「計算で出す点」
ホロスコープ(生まれた瞬間の星の配置を円に描いた図)には、天体のほかに、計算で求める点も書き込まれます。こうした点は「感受点」と呼ばれます。リリスはその一つです。太陽・月・アセンダントの位置から求めるパート・オブ・フォーチュンも、同じ仲間です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正体 | 月の軌道から計算する点(天体ではない) |
| よく使われる種類 | 平均リリス(ブラックムーン・リリス) |
| 記号 | 黒い三日月の下に十字を付けた形 |
| 星座を移る速さ | 約9か月で次の星座へ(平均リリスの場合) |
| 一般的な読み方 | しまい込みやすい本音、譲れないこだわり |
ホロスコープの図の読み方そのものは、ホロスコープとはで説明しています。
名前の由来は中世の伝承
リリスという名前は、中世ユダヤの伝承に出てくる女性の名から取られています。伝承では、最初の人アダムの最初の妻とされ、従うことを拒んで去った人物として語られます。
占星術でこの名前が使われ始めたのは、20世紀の初めごろです。イギリスの占星術家セファリアルが1918年、地球の「見えない第2の月」をリリスと名づけて紹介しました。
ただし、この第2の月の存在は天文学では確かめられていません。今のホロスコープで使われるリリスの多くは、後で説明する月の軌道上の点です。
占星術での一般的な意味
占星術では、リリスは「人に見せずにしまい込んできた部分」を表すと読まれることが多い点です。我慢してきた本音や、誰に何と言われても譲れないこだわりなどが挙げられます。
伝承の印象から、欲望や性と結びつけて強い言葉で語られることもあります。天庵ではそこを広げすぎず、「自分でも気づきにくい本音のありか」として落ち着いて読みます。
「リリス」は1つではない|4つの種類の違い
ツールによってリリスの星座が違う一番の理由は、同じ名前で別の点を指していることです。主な4種類を表にまとめました。
| 種類 | 別の呼び方 | 何を表す点か | 動き方 |
|---|---|---|---|
| 平均リリス | ブラックムーン・リリス、ミーン・リリス | 月の遠地点の平均の位置 | なめらかに進み、約9か月で次の星座へ |
| 真のリリス | トゥルー・リリス、オスキュレーティング | その瞬間の月の軌道から出した遠地点 | 平均の前後を大きく揺れる |
| ダークムーン・リリス | ヴァルテマートの月 | 存在が確認されていない仮の第2の月 | 実在の天体の動きではない |
| 小惑星リリス | 1181番の小惑星 | 火星と木星の間を回る実在の小惑星 | 小惑星として4年ほどで1周 |
小惑星リリスは、作曲家リリ・ブーランジェにちなんだ名前で、伝承のリリスとは由来が違います。同じ「ブラックムーン」という言葉でも、本によって平均と真のどちらを指すかが違います。ツールで調べるときは、「平均(mean)」か「真(true)」かの表示を見てください。
平均リリスと真のリリスは、最大で30度ほど離れる
真のリリスは、その瞬間の月の動きだけから遠地点を出すため、平均の位置の前後を大きく揺れます。占星術の計算で広く使われるスイス天文暦の解説では、揺れ幅は前後30度ほどとされています。
30度は、ちょうど星座1つ分の幅です。そのため、平均では射手座、真では山羊座のように、種類によって星座がずれることがよくあります。

天庵のおすすめは、まず平均リリス
迷ったら、平均リリスから読むのがおすすめです。動きがなめらかで、生まれた日による差が分かりやすいからです。
真のリリスを好んで使う占い手もいます。どちらが正しいというより、一度決めた種類を使い続けることが大切です。
リリスの計算のしかた|月の軌道の「いちばん遠い点」
月は地球のまわりを、少しつぶれた円(楕円)を描いて回っています。そのため、地球にいちばん近づく点(近地点)と、いちばん遠ざかる点(遠地点)があります。
平均リリスは、この遠地点の方向を、星座の目盛り(黄道)に写した位置です。月の公転の面は、太陽の通り道である黄道とわずかに傾いていますが、占星術では黄道上の位置にそろえて読みます。

約8.85年で12星座を一巡りする
月の楕円の向きは一定ではありません。国立天文台の暦計算室によると、太陽の影響で、楕円の向きは約8.85年の周期で回っています。
この回転に合わせて、平均リリスは約8年10か月で12星座を一巡りします。1つの星座にいる期間は、およそ9か月です。同じく月の軌道から出す点に、約18.6年で12星座を逆向きに巡るドラゴンヘッドがあります。
天庵で平均の値を計算すると、平均リリスは2026年9月中旬に山羊座へ入り、2027年6月ごろまで山羊座にいます。日付はツールの計算方法によって1〜2日ずれることがあります。
生年月日だけで、ほぼ星座が決まる
平均リリスは1日に0.1度ほどしか進みません。そのため、生まれた時刻が分からなくても、生年月日だけで星座はほぼ決まります。
例外は、リリスが星座の境目にいる日の生まれです。この場合は、両方の星座の読み方を見比べてください。なお、リリスがどのハウス(ホロスコープを12に分けた生活の場面)にあるかを見るには、出生時刻が必要です。
ツールでリリスを表示させる手順
無料のホロスコープ作成サイトやアプリでは、リリスが最初から表示されないこともあります。次の順に確かめると見つけやすくなります。
- 生年月日と生まれた場所を入れる(時刻が分からなければ正午で入れる)
- 設定の「表示する点」「追加の点」などの欄を開く
- 「Lilith」「Black Moon」「Mean Apogee」などの項目に印を付ける
- 表示された記号の横にある星座と度数を書き留める
「Mean」と付いていれば平均リリス、「True」や「Osculating」と付いていれば真のリリスです。書き留めるときは、種類も一緒にメモしておくと後で迷いません。
12星座別のリリスの読み方一覧
リリスの星座ごとに、「しまい込みやすい本音」と「ほどき方のヒント」をまとめました。内容は、多くの解説に共通する読み筋を天庵の言葉で言い直したものです。当てはまらない部分があっても気にしなくて大丈夫です。
| リリスの星座 | しまい込みやすいと読まれる本音 | ほどき方のヒント |
|---|---|---|
| 牡羊座 | 人より先に動きたい、主導権を持ちたい気持ち | 小さなことから、自分が決める場面を作る |
| 牡牛座 | 好きなもので満たされたい、という欲求 | 心地よい物や時間を、遠慮せず選んでみる |
| 双子座 | 思ったことを、そのまま口にしたい気持ち | 書く・話すなど、言葉を外へ出す場所を持つ |
| 蟹座 | 甘えたい、守られたいという気持ち | 頼れる人を一人決めて、少しずつ預けてみる |
| 獅子座 | 認められたい、目立ちたいという気持ち | 好きなことを、人に見せる機会を作る |
| 乙女座 | 完璧でなくてもいい、と思いたい気持ち | 7割の出来で手放す練習をしてみる |
| 天秤座 | 人に合わせず、本当は選びたいという気持ち | 小さな好みから「私はこっち」と言ってみる |
| 蠍座 | 深くつながりたい、一つのことを極めたい気持ち | 信頼できる相手にだけ、本音を少し見せる |
| 射手座 | 縛られず、自由に考えたいという気持ち | 予定を入れない日を、意識して作る |
| 山羊座 | 弱さを見せず、自分の力で立ちたい気持ち | 結果だけでなく、途中の疲れも認める |
| 水瓶座 | 周りと違う自分でいたい、という気持ち | 少数派の意見を、言葉にしてみる場を持つ |
| 魚座 | 現実から少し離れて、休みたい気持ち | 一人で空想にひたる時間を、予定に入れる |
表は入口の目安です。リリスは主役の天体ではないので、星座だけで性格を決めつけないでください。
表を使った振り返りのしかた
表を読んだら、次の2つを紙に書き出してみてください。頭の中だけで考えるより、本音の輪郭がつかみやすくなります。
- 表の「本音」のうち、思い当たる場面を1つ
- その本音を最近いつ我慢したか、または出せたか
思い当たらない場合は、無理に当てはめる必要はありません。リリス以外の天体のほうが、今の自分をよく表していることもあります。
ほかの天体と重なるときの読み方
リリスは、星座だけでなく、ほかの天体との角度でも読まれます。角度の基本はアスペクトとはで説明しています。
特によく話題になるのは、リリスがほかの天体とほぼ同じ位置に重なる場合です。占星術の用語ではコンジャンクション(0度の角度)にあたります。重なる天体ごとに、次のように読まれることが多いです。
| 重なる天体 | 一般的な読まれ方 |
|---|---|
| 太陽 | 自分らしさの中心に、譲れないこだわりがある |
| 月 | 安心したい気持ちを、人前では隠しがちになる |
| 金星 | 好きなものや人への思いを、強く持ちやすい |
| 火星 | 怒りや意欲を、ためてから一気に出しやすい |
ただし、真のリリスは位置が大きく揺れるため、角度を見るなら平均リリスのほうが落ち着いて読めます。重なりの幅(オーブ)も、ほかの天体より狭めにとる占い手が多いようです。
リリスを読むときに気をつけたい3つのこと
1. 先に太陽・月・金星を読む
リリスは、性格の中心を表す点ではありません。まず太陽星座や月星座、金星星座を読み、そのあとで補助として見るのが自然な順番です。
2. 「怖い点」「悪い点」として読まない
リリスは、強い言葉で語られることが多い点です。けれども、しまい込んだ本音は、ていねいに扱えば自分らしさの手がかりになります。不安になる読み方をしている解説は、距離を置いて読みましょう。
3. 相性で見るときは、種類をそろえる
二人のホロスコープを重ねるシナストリーでリリスを見る場合、二人とも同じ種類で調べてください。種類が違うと、星座が1つずれて比べてしまうことがあります。
ちなみに天庵式相性指数の計算に、リリスは使っていません。点数は、簡易版では太陽星座の組み合わせ、個別版では太陽・月・水星・金星・火星の星座から出しています。
よくある質問
Q. リリスは悪い意味の点ですか?
A. いいえ、吉凶を決める点としては扱いません。人に見せにくい本音を映す点として読まれることが多く、その本音をどう生かすかは本人しだいです。
Q. ブラックムーンとダークムーンは同じですか?
A. 別のものとして扱われることが多いです。ブラックムーンは月の遠地点から出す点、ダークムーンは存在が確認されていない仮の月を指すのが一般的です。
Q. 生まれた時間を知らない場合、リリスの星座はどう調べますか?
A. 平均リリスなら、生年月日だけでほぼ分かります。約9か月に一度しか星座が変わらないためです。ハウスまで見たい場合は、出生時刻が必要です。
Q. サイトによってリリスの星座が違うのはなぜですか?
A. 多くは、平均リリスと真のリリスの違いです。二つは最大で30度ほど離れるため、星座が1つずれることがあります。どちらの種類で出しているかを確かめてください。
Q. リリスは恋愛の相性に関係しますか?
A. 恋愛で惹かれ合うきっかけとして読む占い手もいます。ただ、相性の中心は金星や火星、月です。リリスは補助として見て、二人の関係を決めつける材料にはしないのがおすすめです。
Q. 「ブラックムーン」は、月が見えない夜のことではないのですか?
A. 同じ言葉が、ひと月に2回目の新月を指して使われることもあります。占星術のブラックムーン・リリスは、それとは別の、月の軌道から出す点です。
まとめ|リリスは、しまい込んだ本音のありかを示す点
- リリスとは、多くの場合、月の軌道で地球から最も遠い点を表す計算上の点
- 平均・真・ダークムーン・小惑星の4種類があり、ツールで星座が違うのは主にこのため
- 平均リリスは約8年10か月で12星座を一巡りし、1星座に約9か月とどまる
- 星座ごとの読み方は傾向の目安。主役の太陽・月・金星を先に読む
自分のリリスの星座が分かったら、表の「ほどき方のヒント」を一つだけ試してみてください。どう受け止めるかを決めるのは、最終的にはご自身です。
ほかの天体や点の意味は、星座・占星術の用語集から探せます。太陽星座ごとの性格をまとめた星座一覧もあわせてご覧ください。
出典 – 国立天文台 暦計算室「暦Wiki/月の公転運動/近地点方向」(楕円の向きが約8.85年で回ること) – Astrodienst「Swiss Ephemeris」解説(英語)(平均・真のリリス、ダークムーンの説明)
この記事は西洋占星術の一つの読み方です。読み方を断定するものではありません。


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