黄道十二宮(こうどうじゅうにきゅう)とは、太陽の通り道を春分点から30度ずつ、12に等しく分けた区画のことです。「牡羊座生まれ」などと言うときの星座は、じつはこの十二宮の名前です。
天庵の見立ては、「宮は同じ幅にそろえた番地、星座はその上に見える星の並び。名前は同じでも、今は番地と星の並びがほぼ1つずつずれている」です。
取り上げる話題を、先に挙げておきます。
- 黄道十二宮の読み方と意味
- 白羊宮から双魚宮まで、12宮の名前と始まりの日の一覧
- 黄道十二星座との違い(2026年の空で、宮と星座がどれだけ重なるか)
- 黄道十二宮の生まれた場所と、日本への伝わり方
黄道十二宮とは|読み方と意味
黄道十二宮は「こうどうじゅうにきゅう」と読みます。言葉を「黄道」と「十二宮」に分けると、意味がつかみやすくなります。
「黄道」は、太陽が1年でたどる空の道
空を1本の大通りにたとえると、黄道は太陽が1年かけて歩く通りです。地球が太陽のまわりを回るので、地球からは太陽が星々の前を進むように見えます。月と惑星も、この大通りから大きくは外れません。
「宮」は、黄道を30度ずつ区切った一つ分
黄道は一回り360度です。春分点(春分の日に太陽がいる位置)を0度として30度ずつ区切ると、12の区画ができます。通りに同じ幅で振った番地のようなもので、その一つ一つが「宮」です。
国立天文台の暦の解説では、十二宮は星座の大きさによらず等間隔に分けたもので、おもに占星術で使われると説明されています。
別名は「十二宮」「獣帯」
辞書では、十二宮・獣帯(じゅうたい)という呼び方も紹介されています。世界大百科事典では、黄道帯を表すギリシア語がもともと動物を意味したため、獣帯とも呼ばれたと説明されています。
英語では zodiac と呼びます。もとはギリシア語で、動物を意味する言葉から来ています。
黄道十二宮の一覧|白羊宮から双魚宮まで
12の宮を、春分点から順に並べます。右の2列は、2026年に太陽がその宮に入る日時と、同じ瞬間の二十四節気です。
| 宮 | 読み | 占いの星座 | 黄道上の位置 | 太陽が入る日時(2026年) | 二十四節気 |
|---|---|---|---|---|---|
| 白羊宮 | はくようきゅう | 牡羊座 | 0〜30度 | 3月20日 23:46 | 春分 |
| 金牛宮 | きんぎゅうきゅう | 牡牛座 | 30〜60度 | 4月20日 10:39 | 穀雨 |
| 双子宮 | そうしきゅう | 双子座 | 60〜90度 | 5月21日 9:37 | 小満 |
| 巨蟹宮 | きょかいきゅう | 蟹座 | 90〜120度 | 6月21日 17:25 | 夏至 |
| 獅子宮 | ししきゅう | 獅子座 | 120〜150度 | 7月23日 4:13 | 大暑 |
| 処女宮 | しょじょきゅう | 乙女座 | 150〜180度 | 8月23日 11:19 | 処暑 |
| 天秤宮 | てんびんきゅう | 天秤座 | 180〜210度 | 9月23日 9:05 | 秋分 |
| 天蠍宮 | てんかつきゅう | 蠍座 | 210〜240度 | 10月23日 18:38 | 霜降 |
| 人馬宮 | じんばきゅう | 射手座 | 240〜270度 | 11月22日 16:23 | 小雪 |
| 磨羯宮 | まかつきゅう | 山羊座 | 270〜300度 | 12月22日 5:50 | 冬至 |
| 宝瓶宮 | ほうへいきゅう | 水瓶座 | 300〜330度 | 1月20日 10:45 | 大寒 |
| 双魚宮 | そうぎょきゅう | 魚座 | 330〜360度 | 2月19日 0:52 | 雨水 |
日時は日本時間で、国立天文台の2026年の暦要項の値です。うるう年の調整などで、始まりの日付は毎年同じとは限りません。
宮の始まりは、二十四節気の「中気」と同じ瞬間
二十四節気は、黄道を15度ずつ区切った季節の目印です。そのうち30度ごとの12個を「中気」と呼びます。
宮の区切りも30度ごとなので、12宮の始まりは中気とぴったり重なります。白羊宮の始まりは春分、巨蟹宮は夏至、天秤宮は秋分、磨羯宮は冬至です。
つまり黄道十二宮は、星の並びより季節に結びついた区切りです。ご自分の宮の始まりの日時を年ごとに見たいときは、誕生日の星座早見表が便利です。
漢字の書き方が二通りある宮
双子宮は「双児宮」、天蠍宮は「天蝎宮」と書かれることもあります。どちらも同じ宮で、読み方も変わりません。
宮の名前から、性質のまとまりも読める
占星術では、12の宮を火・地・風・水の4つや、3つの区分に分けて読みます。火・地・風・水はエレメントとは、3つの区分は区分とはが詳しいです。
黄道十二宮と黄道十二星座の違い
ここがいちばん混同されやすい所です。黄道十二宮は区画の名前、黄道十二星座(黄道12星座とも書きます)は空の星の並びの名前です。
| 比べる点 | 黄道十二宮 | 黄道十二星座 |
|---|---|---|
| 何を指すか | 黄道に振った12の番地 | 番地の上に見える星の並び |
| 区切りの決め手 | 春分点からの角度 | 国際天文学連合(世界の天文学者の団体)の境界線 |
| 黄道の上での幅 | 12個すべて30度 | 6.6〜44.0度 |
| 名前の書き方 | 白羊宮・金牛宮(漢名) | おひつじ座・おうし座 |
| 同じ名前どうしの重なり | 2026年は360度のうち11.0% | (左と同じ) |
| 主な使い道 | 占星術・暦 | 天文学・星空観察 |
この記事では区別のため、占いの星座を「牡羊座」、空の星座を「おひつじ座」と書いています。
宮は等しく30度、星座は6.6度から44.0度まで
黄道の上で、空の星座が続く幅を計算しました。最も広いおとめ座が44.0度、最も狭いさそり座は6.6度しかありません。
宮はどれも30度なので、星座の幅とはそもそも合いません。黄道の上には、へびつかい座の区画も18.6度あります。
2026年の空では、宮の多くが1つ前の名前の星座にかかる
では、宮と同じ名前の星座は、どれくらい重なっているのでしょうか。2026年の空で、黄道を0.01度きざみに調べました。
| 宮 | 同じ名前の星座にかかる幅 | 宮の中でいちばん長くかかる星座 |
|---|---|---|
| 白羊宮 | 1.0度 | うお座(29.1度) |
| 金牛宮 | 6.2度 | おひつじ座(23.8度) |
| 双子宮 | 0.0度 | おうし座(30.0度) |
| 巨蟹宮 | 1.7度 | ふたご座(27.9度) |
| 獅子宮 | 11.6度 | かに座(18.4度) |
| 処女宮 | 5.8度 | しし座(24.2度) |
| 天秤宮 | 0.0度 | おとめ座(30.0度) |
| 天蠍宮 | 0.0度 | てんびん座(21.8度) |
| 人馬宮 | 3.4度 | へびつかい座(18.6度) |
| 磨羯宮 | 0.0度 | いて座(30.0度) |
| 宝瓶宮 | 2.1度 | やぎ座(27.8度) |
| 双魚宮 | 8.0度 | みずがめ座(22.0度) |
12の宮を合わせると、同じ名前の星座にかかるのは360度のうち39.8度(11.0%)でした。1つ前の名前の星座にかかる部分は、81.0%ありました。
白羊宮は、ほとんどがうお座の上にあります。宮と星座の名前は、今ではほぼ1つずつずれているのです。

ずれの原因は、春分点のゆっくりした移動
番地の起点である春分点は、歳差という地球の動きで、約72年に1度ずつ移ります。番地は起点と一緒に動き、星の並びは動かないので、両者の間が開いてきました。
同じ計算を100年前の1926年で行うと、同じ名前の星座にかかる割合は14.8%でした。100年で、重なりは約4ポイント減っています。
黄道十二宮ができたころは、春分点がおひつじ座にあり、宮と星座の名前がほぼそろっていました。今の春分点は、うお座にあります。
13星座の話との関係
太陽が通る空の星座を数えると、へびつかい座を入れて13になります。これは「星座」の側の数え方です。
黄道十二宮は区画の数なので、いつでも12です。太陽が空の星座を通る日付は、13星座とはにまとめています。
黄道十二宮はどこで生まれ、どう伝わった?
黄道十二宮に、一人の作者はいません。長い時間をかけて、いくつもの地域で受け継がれてきた区切りです。
はじまりはバビロニアの天文学
世界大百科事典によると、紀元前2100年ころの楔形文字の文字板に、十二宮の痕跡があります。はじめはバビロニアの天文学で使われていました。
その後、紀元前800年以後にギリシアへ伝わったとされます。太陽・月・惑星の位置を示す目盛りとして使われ、西洋占星術の土台になりました。
中国へは、仏教の経典と一緒に伝わった
中国には、仏教の経典の翻訳とともに十二宮が伝わりました。唐の時代、758年に訳された『宿曜経』にも、十二宮のいくつかが見えます。
密教の胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)の外側にも、十二宮の姿が描かれることがあります。そこでは「羊宮」「牛宮」のように短い名前で呼ばれています。
「黄道十二宮」という題名の絵もある
「黄道十二宮 作者」で調べると、画家ミュシャの作品が見つかることがあります。19世紀末のリトグラフで、はじめはカレンダーとして作られたものです。
絵の題名として使われているだけで、十二宮そのものを考えた人という意味ではありません。
占星術では、黄道十二宮をどう使う?
西洋占星術の「◯◯座生まれ」は、生まれたときに太陽がどの宮にあったかを表します。天庵の記事の「◯◯座」も、すべて十二宮のことです。
太陽だけでなく、月や金星がどの宮にあるかも読みます。太陽の宮の読み方は太陽星座とは、全体の図はホロスコープとはで紹介しています。

西洋占星術の全体像は、西洋占星術とはにまとめました。12の宮それぞれの性格は、12星座の一覧から読めます。
よくある質問
Q. 黄道十二宮と黄道十二星座は、どちらが占いで使うものですか?
占いで使うのは黄道十二宮です。30度ずつの区画なので、季節と一緒に毎年ほぼ同じ日に切り替わります。黄道十二星座は、空の星の並びを指す天文学の言葉です。
Q. 自分がどの宮か調べるには?
誕生日で分かります。たとえば4月1日生まれは白羊宮(牡羊座)です。誕生日が切り替わりの日にあたる方は、生まれ年と時刻まで見て決めます。
Q. 黄道十二宮の「宮」は、ホロスコープのハウスと同じですか?
違います。宮は黄道を春分点から区切ったもので、誰にとっても同じ位置です。ハウスのほうは、その人が生まれた時刻と土地しだいで位置が変わります。ハウスの数え方はハウスとはへどうぞ。
Q. 黄道十二宮の順番は、なぜ白羊宮から始まるのですか?
春分点を0度として数えるからです。春分点がある白羊宮が1番目になり、季節の始まりとも重なります。
Q. いつか、宮と星座の名前がまたそろう日は来ますか?
春分点は約2150年で30度動くので、一回りには約2万6千年かかります。とても長い時間をかければ、またそろう時期が来ます。
まとめ|黄道十二宮は、星占いの12星座の正式な名前
- 黄道十二宮は、太陽の通り道を春分点から30度ずつ12に分けた区画
- 白羊宮・金牛宮・双子宮…と続き、星占いの12星座にあたる
- 12宮の始まりは、春分・夏至などの二十四節気の中気と重なる
- 黄道十二星座は空の星の並びで、幅は6.6〜44.0度とばらばら
- 2026年の空では、宮が同じ名前の星座にかかるのは11.0%だけ
宮と星座の違いが分かると、星占いの記事もすっきり読めます。ご自分の宮の性格は、12星座の各ガイドからどうぞ。ほかの占星術の言葉は、用語集で一覧にしています。
この記事は西洋占星術の一つの読み方です。最終的な判断はご自身でお願いします。
出典
- 黄道十二宮の定義、宮と星座の対応と度数、歳差のずれ(約72年で1度・約2150年で30度):黄道十二宮(暦Wiki)|国立天文台 暦計算室
- 2026年の二十四節気の日時と、節気ごとの太陽の黄経(中気が30度ごとにあること):令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節|国立天文台 暦計算室
- 12宮の読み、別名(十二宮・獣帯)、起源と伝わり方、宿曜経、胎蔵界曼荼羅:黄道十二宮|コトバンク(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
- ミュシャ「黄道十二宮」:作品紹介|インターネットミュージアム
- 宮と星座の重なり、星座の幅:天庵の天体計算(国際天文学連合の星座の境界を使用。条件は本文に記載)


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