惑星の逆行とは、ふだん西から東へ進む惑星が、地球からは一時的に引き返して見える現象です。実際に惑星が向きを変えて走っているのではありません。
逆行するのは水星だけではありません。金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星も、それぞれの周期で逆行します。
天庵が50年分の星の動きを計算したところ、土星より外側の惑星は1年の4割ほどが逆行でした。どれか一つでも逆行している日は、10日のうち9日にのぼります。逆行は、珍しい出来事ではないのです。
以下、仕組み、天体ごとの長さ、2026・2027年の期間表、占星術での読み方の順で進めます。水星の逆行は別の記事でくわしく扱っているので、ここでは概要とご案内にとどめます。
惑星の逆行とは?地球から見た逆戻り
まずは全体像を一枚の表で示します。
| 見方 | 惑星の逆行とは |
|---|---|
| 天文学 | 地球も動いているために起こる、見かけの逆戻り |
| 占星術 | その星が受け持つテーマを、振り返り・見直しに使う時期 |
| 逆行する天体 | 水星から冥王星までの8つ |
| 逆行しない天体 | 太陽と月 |
順行・留・逆行の3つの動き
背景の星座に対して、惑星がいつもの向き(西から東)に動いている状態が「順行」です。
反対向きの東から西へ動く時期が「逆行」にあたります。向きが入れ替わる境目では、惑星は一瞬止まって見えます。その瞬間が「留(りゅう)」です。
この記事の期間表は、逆行が始まる留から、順行に戻る留までを載せています。3つの言葉の意味は、国立天文台 暦計算室の暦Wiki「留」で確かめられます。
なぜ逆戻りして見える?内側と外側の惑星で理由が違う
逆行の理由は、惑星が地球の内側を回るか、外側を回るかで分かれます。
水星・金星(地球より内側を回る惑星) 内側の惑星は、地球より速く太陽のまわりを回ります。内側から地球を追い越していくころ、逆戻りして見えます。追い越すのは、惑星が太陽と地球の間に入る「内合」の前後です。
火星から冥王星(地球より外側を回る惑星) 外側の惑星は、地球よりゆっくり回ります。こんどは地球のほうが、外側の惑星を追い越します。そのころ、外側の惑星が後ろへ下がるように見えます。追い越すのは、惑星が太陽の正反対に来る「衝(しょう)」の前後です。
並んで走る電車を思い浮かべてください。速い電車から隣の遅い電車を見ると、相手は後ろへ下がっていくように見えます。相手の電車は、もちろん前へ走り続けています。

内合や衝という言葉は、国立天文台のこよみ用語解説でも図つきで紹介されています。
逆行のまん中には「内合」や「衝」がある
仕組みのとおりなら、内合や衝の日は逆行の期間の中に入るはずです。国立天文台の暦で、2026年・2027年の日付を確かめました。
| 天体 | 内合・衝の日(国立天文台) | 逆行の始まり | 順行に戻る |
|---|---|---|---|
| 金星 | 2026年10月24日(内合) | 2026年10月3日 | 2026年11月14日 |
| 土星 | 2026年10月4日(衝) | 2026年7月27日 | 2026年12月11日 |
| 天王星 | 2026年11月26日(衝) | 2026年9月11日 | 2027年2月8日 |
| 木星 | 2027年2月11日(衝) | 2026年12月13日 | 2027年4月13日 |
| 火星 | 2027年2月20日(衝) | 2027年1月10日 | 2027年4月1日 |
※日付は日本時間です。
どの天体も、内合や衝が逆行の期間に収まっていました。逆行は、地球と惑星の追い越しで起こる現象だと分かります。
天体ごとの逆行の長さと回数|外側の惑星ほど長い
逆行の長さと回数は、天体によって大きく違います。天庵の計算をもとに、目安を一覧にしました。
| 天体 | 逆行の回数 | 1回の長さ | 1年のうち逆行している日の割合 |
|---|---|---|---|
| 水星 | 1年に3回ほど | 約3週間 | 19.2% |
| 金星 | 約1年7か月に1回 | 約6週間 | 7.1% |
| 火星 | 約2年2か月に1回 | 約2か月〜2か月半 | 9.4% |
| 木星 | 1年に1回ほど | 約4か月 | 30.4% |
| 土星 | 1年に1回 | 約4か月半 | 36.1% |
| 天王星 | 1年に1回 | 約5か月 | 41.5% |
| 海王星 | 1年に1回 | 約5か月 | 43.8% |
| 冥王星 | 1年に1回 | 約5か月あまり | 43.0% |
※割合は天庵の計算です。1960〜2009年の18,263日について、毎日の位置を前の日と比べて数えました。

外側の惑星は、1年の4割が逆行
表を見ると、外側の惑星ほど逆行の割合が高くなっています。天王星・海王星・冥王星は、1年のうち4割ほどが逆行です。この3つは1つの星座に長くとどまり、世代の星とも呼ばれます。
外側の惑星はゆっくり動くので、地球に追い越される期間が長くなります。そのぶん、逆行の時期も長く続きます。
一方で、金星と火星の逆行は1年に1回もありません。金星は約1年7か月、火星は約2年2か月に一度です。めぐってくる回数が少ないぶん、話題にのぼりやすい逆行です。
10日のうち9日は、どれかの惑星が逆行している
同じ50年分で、1日ごとに逆行中の惑星の数を数えてみました。
| 同じ日に逆行していた惑星の数 | 日数の割合 |
|---|---|
| 0個 | 10.3% |
| 1〜2個 | 46.3% |
| 3〜4個 | 36.6% |
| 5個以上 | 6.8% |
※水星から冥王星までの8つの天体を、毎日0時(日本時間)の動きで数えた天庵の計算です。
逆行がひとつもない日は、10日に1日ほどしかありませんでした。平均すると、いつも2〜3個の惑星が逆行しています。「逆行中だから特別な時期」と身構える必要はない、というのが天庵の見方です。
太陽と月は逆行しない
太陽と月は、占星術ではほかの惑星と並べて扱います。ただ、この2つは逆行しません。
地球から見た太陽の動きは、地球が太陽のまわりを回ることで生まれます。月は地球のまわりを回っています。どちらも、追い越しによる逆戻りが起こらない組み合わせです。
2026年・2027年の惑星の逆行期間【日本時間の一覧表】
下の表は、天庵が日本時間で計算した日付です。計算の確かさは、国立天文台の暦と突き合わせて確かめました(くわしくは表の後で説明します)。
| 天体 | 逆行の始まり | 順行に戻る | 星座 | 長さ |
|---|---|---|---|---|
| 金星 | 2026年10月3日 | 2026年11月14日 | 蠍座 → 天秤座 | 42日 |
| 火星 | 2027年1月10日 | 2027年4月1日 | 乙女座 → 獅子座 | 81日 |
| 木星 | 2025年11月12日 | 2026年3月11日 | 蟹座 | 119日 |
| 木星 | 2026年12月13日 | 2027年4月13日 | 獅子座 | 121日 |
| 土星 | 2026年7月27日 | 2026年12月11日 | 牡羊座 | 137日 |
| 土星 | 2027年8月10日 | 2027年12月24日 | 牡羊座 | 136日 |
| 天王星 | 2025年9月6日 | 2026年2月4日 | 双子座 → 牡牛座 | 151日 |
| 天王星 | 2026年9月11日 | 2027年2月8日 | 双子座 | 150日 |
| 天王星 | 2027年9月15日 | 2028年2月13日 | 双子座 | 151日 |
| 海王星 | 2026年7月7日 | 2026年12月13日 | 牡羊座 | 159日 |
| 海王星 | 2027年7月10日 | 2027年12月15日 | 牡羊座 | 158日 |
| 冥王星 | 2026年5月7日 | 2026年10月16日 | 水瓶座 | 162日 |
| 冥王星 | 2027年5月8日 | 2027年10月18日 | 水瓶座 | 163日 |
※この表は毎年10月に更新します(最終更新:2026年10月)。
金星の逆行は2026年に1回で、2027年はありません。火星の逆行は2027年に1回で、2026年はありません。木星から冥王星までは、ほぼ毎年1回ずつめぐってきます。
水星の逆行は年3回|くわしくは水星逆行の記事へ
水星の逆行は、2026年・2027年とも3回ずつあります。1回の長さは3週間ほどです。日付と過ごし方は、水星逆行とは?の記事に日本時間の表でまとめています。
2026年10月下旬〜11月なかばは、5つの天体が同時に逆行
2026年10月24日〜11月14日は、水星・金星・土星・天王星・海王星の5つが重なって逆行しています。50年分の計算で、5つ以上が重なる日は100日に7日ほどでした。
見直しの手がかりが多い時期と読めます。ただ、重なるから悪いことが起きる、というわけではありません。
国立天文台の暦と日付が1〜2日違うのはなぜ?
国立天文台の暦では、2026年の金星の留が10月2日と11月12日です。この表と1〜2日違うのは、ものさしが違うためです。
国立天文台は、地球の赤道を基準にした座標で留を出しています。占星術は、太陽の通り道(黄道)を基準にした星座で見ます。基準が違うので、向きが変わる瞬間も少しずれます。
そこで天庵は、同じ道具で基準を赤道にそろえた計算もしました。すると国立天文台の留の時刻と、水星から海王星まで0〜9分の差で一致しました。占星術の表は、この道具を黄道の基準に戻して出しています。
海外の暦では、時間帯(タイムゾーン)の違いで1日ずれることもあります。この記事の表は、どれも東京の時計に合わせた日付と時刻から作りました。

天体別|惑星の逆行の読み方
占星術では、逆行の時期に、その星が受け持つテーマを振り返ると考えます。天体ごとの担当と、天庵の読み方をまとめます。
| 天体 | 受け持つテーマ | 逆行の時期の読み方 |
|---|---|---|
| 金星 | 好きなもの・人との心地よさ・お金の価値観 | 好きなものや、大切にしたい関係を見直す |
| 火星 | 行動・意欲・進め方 | 進め方とペースを点検する |
| 木星 | 広がり・学び・伸びしろ | 広げてきたことを、育て直す |
| 土星 | 責任・約束・仕組み | 約束や仕組みを、固め直す |
| 天王星 | 変化・新しさ | 変えたいことを、内側で温める |
| 海王星 | 夢・想像・感受性 | 思い描いてきたことを、静かに確かめる |
| 冥王星 | 深いところでの変化 | 長く続けてきたことの意味を、問い直す |
金星の逆行|「好き」と「大切」を確かめ直す
金星は、好きなものや心地よさ、価値観を受け持つ星です。約1年7か月に一度、6週間ほど逆行します。
この時期は、好きなものや大切な関係を振り返るのに向いていると読みます。昔の趣味や、しばらく連絡していない友人を思い出すこともあるでしょう。
金星は、牡牛座と天秤座の守護星です。守護星とは、星座ごとに決まった担当の星のことです。星座と守護星の組み合わせは、守護星とはの一覧で見られます。生まれたときの金星の星座で恋の傾向を読む方法は、金星星座でわかる恋愛傾向で紹介しています。
2026年10〜11月の金星の逆行は、牡牛座の2026年運勢でも読んでいます。
火星の逆行|進め方とペースを点検する
火星は、行動力や意欲を受け持つ星です。約2年2か月に一度、2か月以上逆行します。生まれたときの火星の星座で見る12タイプは、火星星座でわかる行動力と怒り方で紹介しています。
この時期は、勢いよく進むより、進め方を点検するのに向いていると読みます。途中で止まっている計画を、手直しするのにもよい時期です。
2027年1〜4月の火星の逆行は、乙女座から獅子座へ戻りながら進みます。日付や地球最接近との関係は、2027年の火星逆行でくわしく見ています。この逆行が乙女座・獅子座の人の一年にどう関わるかは、それぞれの運勢記事(乙女座・獅子座)で取り上げました。
木星の逆行|広げてきたことを育て直す
木星は、広がりや学び、伸びしろを受け持つ星です。1年に1回、4か月ほど逆行します。
この時期は、新しく広げるより、すでに広げたことを育て直すのに向いていると読みます。学びかけのことを復習するのも、木星の逆行らしい使い方です。2026年12月13日からの逆行で獅子座の17〜27度を3回通る話は、木星獅子座とはで取り上げています。
土星の逆行|約束や仕組みを固め直す
土星は、責任や約束、時間をかけて作る仕組みを受け持つ星です。1年に1回、4か月半ほど逆行します。
この時期は、続けてきたことの土台を点検するのに向いていると読みます。決めたルールや役割分担が、今の暮らしに合っているかを確かめてみてください。
2026年・2027年の土星は牡羊座で逆行します。牡羊座の2027年運勢でも、この時期を読んでいます。
土星の逆行は、29歳ごろに来る節目とも関わります。逆行のために、土星が同じ場所を3回通る人もいます。くわしくはサターンリターンとはをご覧ください。
天王星・海王星・冥王星の逆行|毎年めぐる季節のようなもの
この3つは、1年の4割ほどが逆行です。毎年ほぼ同じ時期にめぐってくるので、季節の移り変わりに近いものと天庵は考えます。
天王星は変化、海王星は夢や想像、冥王星は深いところでの変化を受け持ちます。逆行の時期は、外へ動くより、内側で考えを温める期間と読みます。双子座にいる天王星の毎年の逆行は、天王星双子座とはに一覧があります。
冥王星は2026年・2027年とも水瓶座で逆行します。冥王星が滞在する星座の人に向けた読みは、2027年の水瓶座の運勢にあります。2043年ごろまで続く冥王星水瓶座の時代の意味は、冥王星水瓶座とはで12星座別に読めます。

逆行の時期の過ごし方|長さに合わせて見直しの単位を変える
逆行は、天体によって長さが3週間から5か月あまりまで違います。天庵は、長さに合わせて、見直す単位を変えることをおすすめしています。
| 長さ | 天体 | 見直しの単位の例 |
|---|---|---|
| 数週間 | 水星 | 1通の連絡、1回の予定 |
| 1〜2か月半 | 金星・火星 | 1か月ごとの計画、続けている習慣 |
| 4〜5か月あまり | 木星・土星・天王星・海王星・冥王星 | 季節ごとの振り返り、1年の目標 |
- 短い逆行は、手元を確認する:水星の逆行は、送る前の読み返しや予定の確認から始めます
- 中くらいの逆行は、続け方を点検する:金星・火星の逆行は、習慣や計画のペースを見直す機会にします
- 長い逆行は、季節の振り返りに使う:外側の惑星の逆行は、3か月や半年の区切りで振り返る目安にします
どの逆行も、何かを止めるための時期ではありません。契約や大きな決めごとを、逆行を理由に先送りする必要もありません。決めるのは、書面や条件を読んだうえでのあなた自身です。
生まれたときに逆行していた天体の読み方
出生時の天体の位置を記した円い図を、ホロスコープと呼びます。この図では、生まれたときに逆行していた天体に「R」や「℞」の印が付きます。図の見方の入口として、ホロスコープとはも合わせてどうぞ。
逆行の割合から考えると、天王星・海王星・冥王星が逆行中に生まれた人は、それぞれ4割ほどいます。木星や土星でも、3人に1人ほどです。印が付いていても、珍しいことでも、欠点でもありません。
天庵では、生まれたときの逆行を「その星のテーマを、内側でじっくり育てやすい」傾向として読みます。性格を決めつける材料ではなく、読み方の一つです。
よくある質問
Q. 惑星の逆行中は、悪いことが起こりますか?
A. 逆行が出来事を引き起こす、という考え方を天庵はとっていません。天文学の上では、地球の動きが生む見え方の変化にすぎません。占星術では、振り返りや見直しに向く時期の目安として読みます。
Q. いちばん長く逆行する惑星はどれですか?
A. 2026年・2027年では、冥王星の162〜163日(5か月あまり)がいちばん長くなります。海王星・天王星もほぼ同じくらいの長さです。
Q. 惑星の逆行と、水星逆行は違うものですか?
A. 同じ現象です。水星逆行は、惑星の逆行のうち水星の分を指します。水星は回数が多いため、とくに話題になりやすい天体です。
Q. 太陽と月が逆行しないのはなぜですか?
A. 地球との間で、追い越しが起こらない組み合わせだからです。太陽の見かけの動きは地球の公転から生まれ、月は地球のまわりを回っています。
Q. 逆行の期間は、サイトによって違うのはなぜですか?
A. 時間帯の違いと、基準にする座標の違いが主な理由です。天文の暦は赤道を、占星術は黄道を基準にすることが多く、1〜2日ずれることがあります。
まとめ|惑星の逆行は、長さに合わせて読む見直しの時期
惑星の逆行は、地球から見て惑星が逆戻りして見える現象です。水星だけでなく、金星から冥王星まで、それぞれの周期で逆行します。
外側の惑星ほど逆行は長く、天王星から冥王星は1年の4割ほどが逆行です。どれかの惑星が逆行している日は、10日のうち9日にのぼります。
天庵は、逆行を「長さに合わせて見直す時期」と読んでいます。水星なら1通の連絡、外側の惑星なら季節ごとの振り返りが目安です。
ほかの用語は星座・占星術の用語集で、今の空の星の読み方はトランジットとはで確かめられます。12星座それぞれの一年は、運勢一覧から選べます。
占星術は傾向を読むもので、出来事を断定するものではありません。どう動くかを決めるのは、いつも読者の皆さん自身です。
出典
- 留の定義(順行と逆行の境目):国立天文台 暦計算室 暦Wiki
- 内合・衝の意味:国立天文台 暦計算室 こよみ用語解説
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表 天象」(2026・2027年の留・内合・衝の日時の照合)
- 逆行の割合・期間の計算:天庵の計算(天文計算ライブラリ PyEphem で、黄道上の位置を求めて計算)


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